神技   阿部ひとみ

何かにつまずいた
という訳ではなかった
そんな感じではなかった
足をはらわれた
そんな感じだった
駐車していた車のうしろで突然転んだ

ふっ、と身体が宙に浮いた
かと思ったら
青空が傾き
ひっくり返った虫のように
あお向けに転がっていた

左の膝を激しく打ち
すぐには立ち上がれなかった
右のてのひら、手の甲に
コンクリが引っ掻いた擦過傷
血が滲んできてヒリヒリした

 いいかげんにしろよ
神様が
今だ、とばかりに
足技をかけてきた

何も企んででゃいない
道の向こうへ行こうとしていただけだ