2026.08.27

晩年、マルが病気になってからわたしたちは家を空けることはほとんどなくなっていた。小さな用事で外に出かけることはあっても、決まった時間には側にいた。朝の散歩と食事の時間、夕方の散歩と食事の時間。それぞれ2、3時間は彼の側にいて会話をした。そのほかにも、1時間おきにオシッコの手伝いをし、昼には昼食のおこぼれをあげた。なんやかんや、1日のうち9時間ぐらいは一緒にいた。それも、物事は彼を中心に決められ、判断され、動いていた。それがぽっかりと空いた。もうだいぶ慣れては来たが、まだ物事の思考の順番がマルを最初に置く癖が治らない。こういうことを一度書けば、もう二度同じことを書くことはないだろうと思って書いている。朝の散歩はもっとひどい。時間の進み具合が早くて慣れない。各駅停車の鈍行列車に乗って遠くの駅まで往復して帰ってくる。途中いろんな人に会い、いろんな草花を見て、変化する空を見る。そんな散歩が、今は新幹線に乗って何も見ずにあっという間に終わる。豊穣な時間を今度は自分たちで作らなければならなくなった。
工房に入り、詩人聯合での宣言文のような文章を修正し、画像を校正者に送信する。それからなかなかOKの返信が来ず、手持ち無沙汰になる。その間、庭の畑の片付け。大根おたねを植える事前準備。畑はスイカが大威張りで面積の対外を支配している。それを少し取り除く。余計なトマトの蔓を払いのける。などを行う。それでも連絡がないので、表紙に題字をを印刷することにする。オフセットの墨のインクをエイトファイブに乗せ、位置合わせを行い、一気に約40枚の表紙を印刷する。あとは背に印刷をすれば終わる。午後、午睡。起きてやることもないので、ノンブルの印刷のための試作。事前にノンブルはあの欧文活字を使おうと決めていたものがあるので、それを取り出し、印刷を行う。けっこういい感じだが、どうもインクのノリが悪い。オフセットのインクだからだろうか。はて?
夕、母のケアマネと車椅子に敷く座布団を持って業者の方が見えられる。忘れていたので慌てる。そんなこんなで夜となる。
市村さんから最近作った紙のグッズ類を送っていただく。市谷の杜の展示を見に行ってくれたらしい。あのスライドに工房の姿が映っているけれど、ガラス窓に貼った市村さんのポスターを見て笑っただろうなと思う。いつか、市村さんの落書きのようなキャラクターでポストカードを作ってみたいなとずっと思っている。
