日記

2026.03.01

 昔から、平和な世界が一瞬で崩壊する経験を繰り返ししていたように思う。小さな頃は両親の喧嘩が始まると、ないもかもが一瞬でぶっ飛んだ。今思えば慎ましい生活だったが、その中にも一家団欒に値する時間があった。それが一瞬で吹っ飛んだ。自分のせいとは思わなかったが、なにもかも嫌になった。そういうことが今でも時々起こる。じゃあ、いままで楽しかったこと、幸せだなと思ったことは、なんだったのだろうと思う。過去の良い思い出だったのか、それとも皺々になったただの紙屑だったのか。皺々になる前の綺麗な折り目のないまっさらな紙は、日に当たれば、風に当たれば、人の手に渡れば、折り目を付けて、形を変えて、次第に変わってゆく。一瞬でも変わり果てる。破けた穴から落ちてゆく現実を見る。そもそもそんな紙は、あったのだろうか。

 工房に入り、双紙のわたしの文章の印刷。さあ始めるぞとはりきって、邪魔な印刷物を放り投げたら9ポイントのすだれに当たって活字が溢れる。失態。気を取り直し、昨日の夕方に活字が届いているので、下駄を履かせた活字を届いた活字に取り替えてゆく。それから校正確認を行い、修正し、本番の印刷を行う。気がつくと、「状態」の「状」が旧字体の「狀」になっている。さらに、二分で揃えたカッコ「〈」の組み方を間違えている。句点の後は二分押スペースを入れずに「〈」を組んでいいのだが、文字間には「〈」であれば前に二分スペースを、「〉」であれば後ろに二分スペースを入れなければいけないのに、それをしていない。文章の組み方を忘れている。4キロ走る。午後に解版し、次のページの植字、校正を行い、一気に印刷をする。午前のページの裏のページになるので、インクが乾いていないかもしれないと翌日の印刷と思っていたが、気持ちが先先と動いてしまう。無事に印刷を終える。

 夕、マルと散歩。児童公園を一周。風が冷たい。でも、気持ち良い日。

 夜、本棚に昔結婚した時に仲人さんからいただいたサン=テグジュペリ『星の王子さま」を見つけ、読み始める。なんだそんなことと思ってしまうことがある。これって、大人になってしまった証拠だろうか。